みなさん、こんばんは!あこです (^^)/
今回は、看護学生時代の病院実習中に「嘘でしょ!?」と思わず声が漏れそうになった経験のご紹介です。
※この記事の内容につきましては、私の個人的な見解のため、その辺りはご了承下さい。また、看護師としての個人の経験からの記事です。
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目を疑ったオペ室の見学
外科病棟で担当していた患者さんの手術予定が実習中にあることがわかり、その手術を見学させて頂けることになった。
手術当日。患者さんと一瞬に緊張しながら、でも患者さんの緊張が少しでもほぐせたらと声かけしながらオペ室へ向かう。
病棟看護師からオペ室の看護師へ申し送りがあるため、私はそこで患者さんと一旦離れた。
申し送りを見学後、少し遅れてオペ室へ入ると、すでに患者さんは手術台に横になっていた。
ここから私は少し離れた場所で邪魔にならないよう見学させて頂く。
患者さんを囲む麻酔科医や看護師の表情は帽子とマスクでほとんど読みとれなかったが、優しい声でこれからの段取りや患者さんの不安をぬぐうであろう声かけを丁寧にしていた。
そしてテレビで観ていたような光景が始まる。
麻酔のマスクを口元にあて「数を10から数えましょう。」確かこんな感じ。
患者さんはいくつか数をカウントしただけであっという間に眠りに落ちた。
ここまでは予想通りだった。
ただ、次からの展開に圧倒?驚愕?不信?疑問?のような色々な思いが駆け巡った。
患者さんが眠りに落ちた途端、オペ室の空気が一気に変わった。戦闘モードとでも言うべきか。
スタッフの声のトーンがまず無機質なものに変わった。無駄なものが一切なくなり、オペ室が静寂に包まれる。
術中に必要だと思われる機器が瞬く間に体に取り付けられ、看護師さんが患者さんの両足の膝を曲げたと思ったら手を離すと大股が大胆に開く…思わず目を背けた。
そこから尿道にカテーテルが通された。
「嘘でしょ!?」
患者さんにまだ意識がある時から状況が一変し過ぎて、まだまだ素人寄りな私の感情はついていけなかった。
私のなかに残っている強い印象は、患者さんの意識がなくなった途端、「身ぐるみ剥がされ物のように扱われていた。」ということだけ。
看護師になって20年以上経つ今でも、この時の衝撃は強く残っている。もし自分が手術を受ける側になったとしたら、きっとこんな扱いを受けるのだろうと想像して両手で顔を覆いたくなる。
オペ室のスタッフにとっては時間との戦いなど、様々な理由あってのことだと頭では理解出来るものの、今でもあの時の衝撃は忘れられない。
ここどこだっけ!?
病理解剖の見学実習に参加することになった。
優しそうな病理学の先生が出迎えてくれた。
少し窪んだ金属のベッドとは言えない台に横たわる患者さん。
亡くなった人がどんな状態になるのかは、自分の祖父母の時にみていたので知っていた。
解剖学を学ぶ貴重な経験に感謝をしながら、お亡くなりになった患者さんのご冥福をお祈りしながら、みんなで深々と一礼をし、その見学実習は始まった。
あまりにリアル過ぎる生々しい音、におい、視覚から入る情報に置いていかれないようその場に踏ん張る。
数名の同期生が気分が悪くなり退室していった。
そんななかでも淡々と解剖を進めていく先生。手を進めながら、同時に記録に残すため所見も述べていく。
個々の内臓に取りかかると、重さを計ったり、カットして断面を診はじめる。
その先生の姿が、私にはまるである職業の人に見えてきた。
白いゴム長靴に大きな白い防水エプロン姿。吊り皿はかりの上に乗せて重さを計ったり、長く大きな刃物でカットしていく姿は、まさしくあの職業の姿だった。
こんな時に「嘘でしょ!?…私。」
「ここどこだっけ!?」ほんの一瞬だけ迷い込む。いやいや、病理解剖室だよと冷静に突っ込む自分。
頭の中で「失礼にも程がある」と自粛する自分と、追い出しきれない情報が混在していた。
声に出すにははばかるので、あとは皆さんの想像力にお任せするしかない。
看護学生たちの絶句
内科病棟での実習も終盤に差し掛かり、担当患者さん以外にも看護学生を気にかけてくれる患者さんたちとも打ち解けてきた頃、誰もが知っている長期入院の患者さんがいた。
病棟内で会えばお互い挨拶をし、時には立ち話をするなど本当に気さくな人だった。
よく病室を抜け出し、大きなテレビの観れる病棟内のスペースで過ごしていたことを誰もが知っていた。
とても大変な病気を抱えていることは知っていたが、普段病棟内を自由に行き来している姿を見ていると、まだまだ未熟な私たちがそのことを忘れてしまうのも時間の問題だった。
ある日の帰り際、いつも通り大きなテレビを観ているソファに座った後ろ姿が見えた。
他の同期生を待っていたので、いつもより長くその姿を見つめていた。でもなぜか話しかけようとは思わなかった。
翌朝病棟へ行くと、ナースステーション内の空気がどんよりしていた。なぜかわからないが、何事かがあったことは私たちにもわかった。
学生同士で顔を見合わせるものの、もちろん答え知っている者はいない。
夜勤者からの申し送りが始まると、その「何事か」が判明した。
「嘘っ!?」
思わず口に出しそうになるのを自分の手で押さえる。他の学生たちもそれぞれに固まっているのがなんとなくわかる。
昨晩、ソファに座ったままの状態で天国に逝ってしまったのだ。
初めて看護師さんが憔悴しきっている姿を見た。そしてその日一日、病棟全体が喪に服しているようだった。
昨日のあの時、もし話しかけていたらなにか違ったかな?今でも忘れられないあの後ろ姿…
鋭い視線に気づかなかった私たち
精神科の急性期病棟での実習が始まった。
この病棟では患者さんの脱走がないよう病棟の入り口に鍵がかけられていた。
実習中、学生たち個々にその鍵が貸し出された。
それほど厳重にしなければいけない意味がまだわかっていなかった。
急性期病棟には、カメラモニターのついた個室もあった。その白黒のモニター越しの患者さんは奇声を上げ、激しく暴れていた。
でも手足を拘束され、自分ではなにも出来ないようがんじがらめにされていた。
精神科が特殊なことは理解していたが、とても病室とは思えなかった。逆に精神科の医師たちはなぜか穏やかで優しそうな医師たちばかりで、私には違和感に感じた。
そして、しばらくは何事も起きなかった。
ある日、同期生と2人でお昼休憩に行くため病棟の鍵を開けようとしたところ、看護師さんの「開けないで!」という大声が耳に入ってきた。
咄嗟に振り返ると、患者さんがこちらに向かって走って来ていたが、看護師さんの声を聞き急に足を止めた姿が飛び込んできた。
病棟の患者さんたちが、私たち看護学生が鍵を持っていることに気づき始めていた。
「嘘でしょ!?」
それから私たちはまとまって病棟の出入りをするよう心がけた。その方が見張り役を作れる。
出入りの度に鋭い視線を感じた。
患者さんたちの症状が急変する場面も、何度か目の当たりにしてきた。手がつけられないとはまさにこのこと。
終始気を緩めないようになった。
こんな緊張感のあるところで毎日働くなんて考えられなかった。男性看護師さんが多い理由も、どんなものでも凶器になるし、武器になることも知った。
精神科の看護師さんたちには感服!しかない。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました <m(__)m>
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