看護師の嘘のような本当の話

, , , , ,

みなさん、こんにちは!あこです (^^)/

今回は、題名通り「嘘みたいだけど本当にあった話」のご紹介です。

看護師の仕事をウン十年もしていると、本当に色々なことがあります。

もし違う仕事をしていたら、こんなにたくさんの人の人生に関わることはなかっただろうなと正直思います。良いことも悪いことも含め、その度に色々と考えさせられます。

大変な面はもちろんありますが、「看護師」の仕事は自分の人生を色々な意味で豊かにしてくれているなと感じます。

※この記事の内容につきましては、私の個人的な見解のため、その辺りはご了承下さい。また、看護師としての個人の経験からの記事です。

このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載している場合があります。



思いがけない反応

とある夜勤での出来事。

まだ緊急入院してきて間もない患者さん。おひとり住まいで生活保護を受けていた。

身寄りがないということで、行政の福祉担当の人が身元保証人だったが、音信不通のお子さんが一応いるようだった。

連絡先も保証人さんなのか本人からなのかわからないが、聞いてあった

消灯時間を過ぎた頃、状態が急激に悪化してきた。言葉には出さないが、おそらく夜勤中にお亡くなりになるだろうことは夜勤スタッフみなの共通認識だった。

こういった時、通常家族に連絡を入れる。いつなにが起きてもおかしくない状態(=亡くなりそうだよ。)であることを伝えておく必要がある。大半の家族は直ぐに駆けつける。

この方の場合、保証人は行政の人だったため、もちろん夜間や平日以外は連絡がつかない(亡くなってしまった場合は、一応連絡がつくようなシステムになっている。※自治体で違いあるかも。)。

「家族にはどうする…?」

本人はもう意識レベルが落ちていて、希望など確認出来ない。この家族にどんなことがあって疎遠になっているのかも知らない。

夜勤スタッフで協議した結果、お子さんたちへ念のため連絡を入れることになった。

こういう電話は何度経験しても気が重い…

どう伝えるのがベストなのか、いまだに迷う時がある。病院へ来る途中、慌てて事故など起こさないだろうか、いつも心配になってしまう。

一旦気持ちを落ち着けて、受話器をとる。遅めの時間だったが、数コールで出てくれた。

ただ、患者さんの名前を出した途端、声色が変わった。こちらの話を一通り聞いてはくれたが、相づちもなく無言で聞いていた

(頭の中)「えっ!?」

私が一通り話し終えると、言葉尻に被さるように「連絡は不要です。もう縁切ってますから。あの人には…」と言いかけて、突然やめたかと思うと、「死んでも連絡してこないで下さい!(ガシャン)」

「えっ!?えっ!?」

確実に「生きているうちに会うのなら、今が最後のチャンスだよ。」って伝えたのに(言葉はもちろん違う。)…

...

幸いなことに(!?)それまで(30歳ぐらいの時)そういった家族に出会ったことがなかった私。

えぇ、うろたえましたとも

私の伝え方が悪かった!?やだ、どうしよ💦」

今思えば、家族間、夫婦間、男女間のことは当人同士にしかわからないこと。だとわかる。

でもその時は「なにしでかしたの!?この人」状態。

同僚たちは「じゃあしょうがないね。」と意外にクール。これに私は救われた

でもよく知らないその患者さんは、翌朝連絡のついた保証人の福祉担当の人にも一切悲しまれなかった。なんなら「忙しいのに面倒だなぁ。」と顔に書かれていた

合掌 (-人-)

想像を超えていた

普通、痛いのってみんな嫌だと思ってた。

私は痛みに強い自信はあるけど、出来れば痛くない方がいい。

ある時、そんな価値観をひっくり返された

とある悪性腫瘍の患者さん。まだまだ若い。

すごく痛そうで、いつもベッドの上で身体を丸めてじっと痛みに耐えている

誰が何回鎮痛剤を勧めても、頑なに使わない

先生も所見からは相当痛いはずだと言っていた。

なぜ鎮痛剤を使わないのか、誰もわからなかった。もちろん、何回もこの患者さんについてカンファレンスが開かれる。

でも本人がいないところでなにを話し合ったって、憶測でしかないし解決もしない

みんなお手上げ状態だった。

若さ特有のせいなのか、家族にもなにも言わない。母親なんてどんな気持ちだったのだろう…

そんななか、担当看護師だけは根気強く向き合っていた。

そんな彼女の根気強さのお陰で、とうとうなぜ鎮痛剤を使わないのか、その理由が判明した。

私の頭の片隅に「その理由」はこれっぽっちも置いてなかった。

その理由は「痛みを感じることで生きていることを実感するため」というものだった。

単細胞の私には想像も出来なかった「理由」

「青天の霹靂?」「ぐうの音も出ない?」うまい言葉がみつからない。

人間の思い込みって怖い

こんなことってある!?

検査入院をしてきた患者さん。数日で検査も終わり、予定通りの退院

私は担当はしなかったものの、最終の夜の夜勤メンバーだった。なんだかんだあったけど、無事に朝を迎えた。

はずだった。

起床時間を過ぎたばかりの頃、トイレから出てくるその患者さんの歩く後ろ姿を見かけた

日勤者へ申し送るまであとひと頑張り!スタッフみんなで声をかけ合い、各々の仕事を進める。

そんななか、申し送りまで1時間をきった頃だった。突然緊急コールが病棟内に鳴り響いた

また患者さんの押し間違いかな?と思いつつ、その病室へ向かうと、担当していた同僚の顔がひきつっている

「息してない…」

心肺停止状態で発見されたのだ。

こういう時の看護師のチームワークは凄い。なにも言わずとも、大部屋からベッドごとその患者さんを処置室へ移動するスタッフ、ドクターコールするスタッフ、処置室を空けるスタッフ、他の患者さんのナースコールなどケアにあたるスタッフに分かれる。

すぐさま蘇生処置が開始される。もうこうなると、やるしかない。

心肺停止状態から何分経過しているかは重要な情報だけど、当日退院予定のこの患者さんはもちろんモニターなんてつけていない。同室の患者さんたちもカーテンを閉めていたため、よくわからなかった。

最終的には、私が見かけた後ろ姿が生きている患者さんの最終確認となった。すでに2時間ほどが経過していた。

ただの検査入院だったのに…今日退院のはずだったのに…

冗談抜きで、「ドッキリ!」と書かれたプラカードを持った人に、それまでの人生の中で一番出てきて欲しいと思った瞬間だった。

勝手な思い込み

ここでも「思い込み」の話。

とても位の高いお坊さん(?)だという人が入院してきた。私にはその辺のことはよくわからなかったけど、とにかくその界隈では凄い人らしい。

もちろん個室に入って、部屋から滅多に出てくることはなかった。というか奥さんが面会に来た時に色々身のまわりのことを甲斐甲斐しくお世話していた。

患者さんは穏やかな人で、やっぱり修行して位が高くなると、ちょっとやそっとのことでは動じない精神力が備わるんだなぁなんて勝手に思い込んでいた。

でもそれもほんの初めの頃だけだった。

確かに相当辛い治療を受けていた。身体も辛いだろうし、そんな状況だと精神面に影響しても全然おかしくない

他の患者さんも同様だった。みんなどうにかその時期を乗り越え治療に向き合っていく。

でも、この患者さんはここからが違った。看護師にイライラを出すようになったかと思うと、若い看護師にばかり強く出るようになった。

しまいには採血も点滴も一発で決めろとプレッシャーをかけるようになってきた。そういう人に限って(というかだからなのだろう。)かなり難しい血管の持ち主である。気に入らない看護師には刺すことさえ絶対に許さなかった

年代的に勤務で一番年上だったりすることも多かったので、自ずと私がすることになる。幸い私はかろうじて一発で入っていたのでまだ良かったが、どんどんモンスター化していった。

奥さんも困り果てていた。みな勝手に期待していた分、余計に看護師に嫌われた。酷い話

でもいくら位が高ろうと偉い人だろうと人間に変わりはない私たちと同じ

ただ、一般の患者さんたちの方がまだ精神力が備わっていた(酷い看護師だ私…)。

こういうの偏見ていうんだよね。看護師も人間だから、こういう偏見持っちゃうこともあるんだ。

やっぱり人間の思い込みって怖い患者さんに謝りたい

おい!研修医

ベビーばかりの患者さんを看ていた頃、その病棟には研修医が毎年のように来ていた。

これから未来が待っているベビーたちの治療現場は、結構シビアな場面が多かった。急変も多い。

ご両親たちの期待たるやいなや荷は重い。医師が鬱病になってしまったこともあった。

そんななか、深夜に急変が起きた。心肺停止。

蘇生処置が始まる。家族が来るまでどうにかもたせたい。ただ、もう厳しい病状であることは両親も知っていた。

心臓マッサージを交代しながら続ける。身体が小さいため、大人の指数本の心臓マッサージ

家族がなかなか到着せず、担当医が研修医に心臓マッサージを任せた。しばらくすると、遠くに両親の姿が見えた。研修医の方へ振り返ると、なんと眠りながら心臓マッサージをしていた💢

思わず「おい!」

ただ、今と違って研修医は平日はほぼ病院に泊まり込みで24時間ぶっ通しで働くことも珍しくなかった時代。わからなくもないが、あまりの意識の低さ危機感のなさに恐ろしくなったのを覚えている。

今、あの研修医はきちんと働けているのだろうか?でももしかしたら、自分の健康の危機と戦っていたのかもしれない

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました <m(__)m>


コメントを残す