みなさん、こんにちは!あこです (^^)/
今回は、仕事の失敗、そしてそこから学ぶべきことについて。どんな仕事でも失敗はないほうが良いわけですが、医療者である私たち看護師の仕事は、失敗が許されないもの。
ですが、正直なところ失敗してしまうこともあります。
患者さんの命に直結するような失敗は今のところ幸いにしてありませんでしたが、直結していたかもしれない事例は経験しています。そして自分が当事者ではないにしろ、一般的に医療事故と言われる様々な事例を20年以上の看護師人生のなかで目の当たりにしてきました。
起きてしまったことは変えようがありませんし、もう二度と同じ過ちは起こさない。その後どうするかが大事になってくると思っています。
今回は、自分の事例を通して、少しでも注意喚起としてお役に立てればと考えております。
※この記事の内容につきましては、私の個人的な見解のため、その辺りはご了承下さい。また、看護師としての個人の経験からの記事です。
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事例1:理由のわからない右肩の痛み
ある日の夜勤で担当していた他科の患者さん。確か専門病棟のベッドの空きがないということで、大部屋に入院されていました。
背景としては慢性腎不全で血液透析を受けている患者さん。入院理由も大切な情報なのですが、だいぶ前過ぎて覚えていません、すみません💦
日勤者から引き継ぎ、早々に挨拶回りをしつつ検温に回っている時でした。その患者さんのところへ行くと「右の肩が痛い。」と訴えられました。
まずは外的要因(ぶつけた、変な姿勢で手をついたなど)がなかったか、実際の肩の動きも見せて貰います。でもこれといった原因や誘因もなく、痛みはあっても問題なく動かせます。見た目も変わりありません。
そして、それ程困っているという印象はありませんでした。バイタルサインも透析を受けられている影響か少々血圧が高め(高いことには様々な理由がありますが、透析患者さんは高血圧の合併が多くいのです。)でしたが、通常時と変わりありませんでした。
ここで鋭い看護師さんは(事例のネーミング自体でわかった方もいるはず!)、おそらく推測すべき疾患がすぐ挙がってくるかと思いますが、その時の私はまだまだひよっこで、夜勤の担当患者数の多さに余裕のない時期。すぐには挙がってきませんでした。
本人から湿布を貼ってほしいというリクエストがあり、対応しましたが、なんとなくこのまま様子をみて良いものか引っかかりつつ、まだまだこなさなければならない仕事もたくさんありましたので、移っていってしまいました。
が、この患者さんのところに運良く担当医が様子を診に来たのです。担当医は忙しかったようで、夕方になってやっと他科に入院している担当患者さんのところへ診察に回ってきたのです。
夜勤中だったので、担当医が病棟に来ていることに私も気づいておらず、その担当医から院内PHSに連絡が来た時には、すでに救命救急センターへ転棟するので準備をしてほしいという連絡でした。
「んっ!?やっぱりなにかあったんだ…」という自分への不甲斐なさを感じつつ担当医のところへ駆けつけると、「心筋梗塞疑い」ということで救命救急センターへ転棟する手配済みでした。
夜勤中は看護師が少なく、忙しいことは医師も理解しており、十二誘導心電図検査から、採血、心電図モニターの装着までひとりでしてくれていた医師。頭が上がりません…
当の患者さんはあれよあれよという間に救命救急センターへの転棟が決まり、鳩に豆鉄砲を食らったような表情だったのが印象的でした。
事例1の振り返り
ここに注意!こうすれば良かった
この患者さんの場合、患者さんが訴えていた「右の肩の痛み」から、もっと他の原因を考えるべきで、関連する情報ももっと集めるべきでした。
慢性腎不全、高血圧という時点で動脈硬化=血管危険因子の合併が高頻度であることを念頭に置くべきで、そうすれば心筋梗塞の放散痛が頭に浮かんだはず!
となれば十二誘導心電図検査をし、担当医または当直医に相談という流れが出来ていなければいけませんでした。
そして、夜勤のリーダー看護師や先輩方に情報共有や相談をしていれば、もっと早くに気づけたかもしれませんし、担当医を見かけたら私に教えてくれていたはずです。
この患者さんはたまたま担当医があの時間に診察に来てくれたことで、早期の発見、治療につながり大事には至りませんでしたが、でなければあの夜勤でどうなっていたのだろう…と今でも時々思い出し、気が引き締まります。そして面目ない私…(;´_ゝ`)
事例2:「痛みの後に意識消失」患者さんに起きていたこと
これまた夜勤中に起きた出来事。直接担当していたわけではありませんでしたが、後輩から相談された事例です。
とある悪性腫瘍の患者さん。その日の日中に化学療法を受けていました。確か化学療法自体は初めてではなかったようですが、使った薬は初めての薬剤でした。これまたずいぶん前のことなので少し情報が曖昧です、すみません💦
準夜勤帯は特に問題なく経過。深夜勤帯もしばらく過ぎた明け方近くのこと。担当していた後輩から、痛みを訴えていたので事前指示から鎮痛剤を飲んでもらったが、効いている様子がないという相談を受けました。バイタルサインは変わりない。
しかも痛がっている部位が腫瘍があるところとは全く違う部位だそう。私も直接ベッドサイドへ足を運ぶ。かなり苦悶様の表情。受け答えは出来るが、閉眼がちで痛むところを自身でおさえ、ベッドの上で小さくなっている。
ただ事ではないことを理解し、寝ていた当直医を電話で起こし、相談すると病棟へ来てくれることになった。
診察を終え、電子カルテを見ながら当直医も「うーん…」と言い、点滴で鎮痛剤を投与することになった。そうこうしているうちに外が少しずつ明るくなり始めた頃、担当していた後輩が意識レベルが落ちていると慌てて私のところへ来た。
一緒にベッドサイドへ向かうと、冷や汗をかき脱力状態、反応もない。ショック症状を起こしているのは一目瞭然でした。もうひとりの夜勤スタッフへ院内PHSで連絡を入れ、担当の後輩スタッフと二人で処置室へ運ぶよう指示し、当直医へ連絡する。
当直医もすごい速さで病棟まで来てくれた。緊急でレントゲン検査、血液検査をオーダー。念のため蘇生セットをベッドの上に載せ、当直医と担当していた後輩二人ででレントゲン室まで連れていった。
その患者さんのことが気になりながらも、通常3人でも大変な朝の採血や検温、トイレ介助、ナースコール対応など、優先順位を考えながら2人でどうにか対応していた頃、かなり深刻な状態であったことが検査室で判明していた。
結局、何が起きていたかというと日中に行った治療により急速に腫瘍が小さくなり、消化管に穿孔を起こしていたのです。もちろん緊急手術になり、その後しばらくは集中治療室に入ることになりましたが、数ヵ月後病棟に戻ってきた患者さんをみた時には不覚にも涙が止まりませんでした。
事例2の振り返り
ここに注意!こうすれば良かった
この患者さんが日中に行っていた治療の薬剤は、即効性が高いことを知っていたにもかかわらず、腹部を痛がらなかったことから、穿孔の可能性を勝手に除外してしまっていたこと、私がベッドサイドに足を運んだ時にはすでにプレショック状態であったとは今になればわかります。
そして何より患者さんの苦痛を長引かせ、病院に入院しているにもかかわらず不安にさせてしまったことは今でもいたたまれません。夜中ではありましたが、専門外の当直医の判断の迷いから、担当医へ連絡をとることも手段のひとつとしてあったかもしれません。
また心筋梗塞のように、まれに痛みが放散して違う部位に痛みが出る場合があることを痛感したのはこの時です。
そして症状が改善するまでは、もっと密に経時的な観察をするよう後輩看護師にきちんと口頭で伝えておくべきでもあったと思いますし、自分が担当を引き継ぎ看ることも考えたほうが良かったのかもしれません。それでも結果は変わりはなかったかもしれませんが、相談をしてきてくれた後輩の精神的な負担を考えると、検討すべきであったと思っています。
みなさんはこの2事例をみて、どう思い、感じましたか?この仕事をしていて知識不足や思い込みほど怖いものはないなといつも考えさせられます。意外と知識として頭の中にあったとしても、いざその場になってみると心の余裕のなさや視野が狭まってしまうような環境から、大事なことが抜けてしまったり、判断を間違えてしまうことも正直あります。後々から考えてみれば「なんであの時…」ということもしばしあります。
患者さんからしてみれば「そんなことでは困る!」とお叱りを受けてしまいそうですが、これがリアルなのです。人手不足、人間関係含め医療者の今の労働環境が改善されることを切に願っています!!
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました <m(__)m>
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